平和へのメッセージ

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2004年イタリア、ミラノの「世界宗教者平和祈りの集会」にて:

 私は日本から参りました禅仏教徒であります。


 人類にとって「戦争と平和」というのは、永遠の課題なのでしょうか。私たちは、戦争と平和のために長い間考えて生きて来ました。


 20世紀の時代はまさに戦争の時代でありました。沢山の戦争が世界中で起こった時代であります。


 そこで21世紀こそは、この戦争の時代から平和の時代へと移り変わることを願って人類は歩みはじめました。このことは世界中の人たちが望んでいたことであります。


 ところが、2001年九月11日、アメリカにおいて、同時多発テロリストの事件が起り、ニューヨークの二つの大きなビルデングが崩壊されるということが起ったのであります。


 これに対してアメリカ国は、その原因をつきとめるためにイラク国を敵として戦争をしかけはじめました。世界中の人たちがこの状況を見守るなか、今日もなお、沢山の人たちが戦争の犠牲になっております。


 人類はみんな平和を願いつつも、実現されず、常に戦争の危機感だけが高ぶっておるのであります。


 子供たちでも戦争と平和な国についてどちらが良いかたずねれば、平和であると答えるでしょう。ましてや大人たちであっても、その答えは平和な社会と言うでしょう。世界中の人びとがみんなそう思っている。


 ところが、何故悪い戦争になって進んで行くのでしょうか。その原因はいったい何処から来るのでしょうか。


 この地球には60億の人間が住んでいるといわれています。その一人ひとりの人間は尊厳なるものでなくてはならないのです。どんな人でも、どこの国の人でも、大人から子供まで男女を問わず、尊い生命なのであります。


 その大事な人間の生命を、人間が殺してよいものでしょうか。誰が考えても悪いということはわかっていると思います。


 その悪いということがわかっていても戦争という名において人を殺すという行為は、誰がきめ、許してしまうのでしょうか。


 神に聞かなくても、悪いものは悪いのです。にもかかわらずその悪い行動とってしまいます。


 仏教をひと口で言うならば悪いことをするな(諸悪莫作)善いことをせよ(衆善奉行)ということであります。


 人間は子供もの時から親や先生から、悪いことをするな、善いことをしなさいといわれて生長して来たのであります。だからこのことは子供でも知っているのです。


 しかし、人生80を過ぎた老人でさえ、この事を実行するということは大変むずかしいことであります。


 仏教の尊い教えをたとえ知っていても、その尊い教えを実行し実践して生きるということは誰にでもできることではありません。


 戦争は悪いことだと知っていれば、平和への道へ向って努力し実践していかねばなりません。


 そのために、日本人もかっての戦争が悪かったと知ったならば大いに反省し、懺悔し、二度と戦争をやらないと誓い、平和への道を歩んで行かねばなりません。


 それが、これからの日本の新しいヒュマニズムというものであります。今から59年前広島と長崎におきまして、日本国は史上はじめて原子爆弾の被害を受けました。その苦痛を経験しているのは日本人であります。


 その史上はじめての原子爆弾の使用を始めてであって終わりとし、二度とくりかえさないと主張するのは、この世界の唯一、日本国なのであります。そこに日本人としての大きな役割りがあるのです。


 そのために日本は平和憲法を守って行かねばなりません。人の生命を大事にせずして、何のための人生か、反省しなければなりません。


 仏教は、あらゆる生きものを大事にし、そのために実践して、実行する人でなくてはなりません。そのための努力を惜しんではいけません。


 この度、伝統ある、宗教と文化の街ミラノにおいてエディディオ共同体の主催によって現ローマ教皇、ヨハネ・パウロ二世猊下の主導のもと第18回目の「世界宗教者平和祈りの集会」に招待を受け参加させていただきました。


 これは宗教者として人間として、いま一番大事な心がけであるからです。いくら叫んでも簡単に平和はおとずれないかも知れません。


 しかし平和を願う心を失ってしまっては、人間としての立場もありません。いつまでも平和を祈り、願う心をもちつづける人間であり、そのために努力し、実践して行く人になりたいのです。


 世界の宗教者と手をとり合って平和へのメッセージを送れますことを主催者であるエディディオ共同体に感謝するとともに、この大会を盛り上げて下さった多くの人たちにお礼を申し上げて、私のつたない話を終わらせていただきます。


御清聴ありがとうございました。





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